在蘭日本人健康診断

Q & A　1.検査項目について

1) Q: 日本にいるときに腹部エコーで胆のうポリープが発見されたのですが、同様の検査を受けることはできるでしょうか？
2) Q: 日本にいるとき胃カメラを受けた結果1年後再検査の指示が出たのですが，この検査を申し込むことはできるでしょうか。
3) Q: 会社の規定で胃癌検診として胃バリウム検査か胃カメラを受けることになっていますが，胃バリウム検査を申し込むことはできるでしょうか。
4) Q: 会社の規定で健康診断の項目に眼底検査があるのですが，受けられますか。
5) Q: ピロリ菌検査は受けられますか。
6) Q: 甲状腺検査を受けることはできるでしょうか。
7) Q: 腫瘍マーカーの検査を受けることはできるでしょうか。
8) Q: 超音波検査による乳癌検診は受けられますか。
9) Q: 子宮体癌検診は受けられますか。
10) Q: 妊娠中に子宮頸癌細胞診は受けられますか。

1) Q: 日本にいるときに腹部エコーで胆のうポリープが発見されたのですが、同様の検査を受けることはできるでしょうか？
A: 既往歴がある場合（この場合胆のうポリープ）は上腹部超音波（エコー）検査を成人健診の追加項目としてお申し込みになることができます。なお，健康診断の結果の異常を含む「既往症」が無い方が単に異常が無いことの確認に受けることはお勧めしません。胆のうポリープのような病変は，検査をしない限りわからないままで一生を終わってしまうことが多く，こうしたものまで不必要に見つかってしまうのでは何の利も無いからです。また，現地の病院では実施件数が限られていて，お申し込み数が増え過ぎると対応できません。なお，自覚症状がある方は，基本的にホームドクターに紹介または検査指示をしてもらうのがよいのですが，健康診断と一緒に検査をご希望という場合はご相談ください。

2) Q: 日本にいるとき胃カメラを受けた結果1年後再検査の指示が出たのですが，この検査を申し込むことはできるでしょうか。
A: 胃カメラ（胃内視鏡検査）は，検査中に認められた所見により生検を行う場合，健康診断ではなく診療になってしまうので，健康診断として手配するのは困難です。ホームドクターを受診し，紹介状を書いてもらうとよいでしょう。本健康診断受診者でTmS（遠隔医療サービス）加入される方については，当院から紹介致します。

3) Q: 会社の規定で胃癌検診として胃バリウム検査か胃カメラを受けることになっていますが，胃バリウム検査を申し込むことはできるでしょうか。
A: 胃バリウム検査は可能ですが，日本と異なり，胃癌検診としては行われていないため，病院の胃腸専門医が信頼性の点で胃内視鏡検査を勧めていることをご理解の上お申し込みください。胃カメラの申し込みはできません。

4) Q: 会社の規定で健康診断の項目に眼底検査があるのですが，受けられますか。
A: オランダでは眼底検査は検診として一切行われない上，眼科はウェイティングリストが大変長いので，健康診断では手配できません。また，当院は一般健診として簡易型検査を実施する意味を疑問視しているので，検査導入の予定もありません。

5) Q: ピロリ菌検査は受けられますか。
A: 血中抗ピロリ抗体検査が受けられます。ただし，胃検診としては胃ペプシノゲン検査をお申し込みいただくようお願いしています。ピロリ菌検査は結果が陽性だった場合に自動的に追加されます。胃癌発生リスクは主に胃ペプシノゲン検査に反映されます。抗ピロリ抗体陽性者は僅かに胃癌発生率が上がるものの，陽性者のほとんどがピロリ菌感染に起因する病気を発症しません。また，オランダでは日本のように簡単に胃内視鏡検査が受けられないので，数多くいる陽性者の全部を精密検査指示とするのは問題です。

6) Q: 甲状腺検査を受けることはできるでしょうか。
A: 血液検査（Free T4（甲状腺ホルモン）とTSH（甲状腺刺激ホルモン）測定）による甲状腺機能評価を追加項目として受けることができます。受診者全員に対して内科診察で甲状腺の触診を行い，肥大の有無を評価します。

7) Q: 腫瘍マーカーの検査を受けることはできるでしょうか。
A: 前立腺癌で上昇するPSA（前立腺特異抗原）を除き，腫瘍マーカーの検査は基本的に行いません。ほとんどの腫瘍マーカーは信頼性が不十分なため（偽陰性率，つまり，癌があるのに陽性にならない率が高い，偽陽性率，つまり，癌がないのに陽性になる率が高い，また，その両方），癌検診に導入するには時期尚早と考えられす。例えば，CA125という腫瘍マーカーは卵巣癌で上昇することが多いのですが，子宮内膜症（よくある婦人科疾患で，必ずしも治療を要しない）でも上がります。そのため稀な卵巣癌より子宮内膜症が不必要に発見されることが多くなります。癌治療後の経過観察など特殊な事情がある場合に検査を実施することは可能ですので，ご相談ください。

8) Q: 超音波検査による乳癌検診は受けられますか。
A: 乳房の超音波検査は，検査中に認められた所見により生検を行う場合，健康診断ではなく診療になってしまうので，健康診断として手配するのは困難です。乳腺組織の多い比較的若年の女性で乳房X線検査（マンモグラフィ）が判定困難のことがありますが，こうした場合を含め，必要に応じて，マンモグラフィの結果をもとに超音波検査を指示します。

9) Q: 子宮体癌検診は受けられますか。
A: 子宮体癌は高齢女性に多い癌です。子宮体癌検診として行う子宮内膜細胞診は子宮頸癌細胞診に比べ，精度が劣り，多少なりともリスクを伴う検査です。不正出血があったときに婦人科医のもとで受けることをお勧めします。これに対して，子宮頸癌はHPV（ヒト乳頭腫ウイルス）感染に起因し，癌及び異形成dysplasiaという前癌状態の早期発見により妊娠・出産に影響が無いように治療が可能であるため，20代から検診を受けることをお勧めしております。

10) Q: 妊娠中に子宮頸癌細胞診は受けられますか。
A: 受けられますが，妊娠が進むと，妊娠が細胞診結果の判断に影響したり，異常が見つかった場合の対処に悩む場合があります。そこで，妊娠初期に担当医に検査をしてもらうのが理想的です。年1回定期検診を受けていれば，それも不要かもしれません。

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